連帯保証人の保護に重点が置かれた民法改正

2017年5月に「民法の一部を改正する法律」が成立し、2020年4月に施行されました。これにより、民法上、不動産賃貸で物件を借りる際などに必要となる連帯保証人の制度も大きく変更されたました。改正内容を知らないとトラブルに発展する場合もあるので、注意が必要です。不動産賃貸で言えば、民法改正前は借り主が家賃や部屋の修繕費を支払えない場合、それらを全て本人の代わりに支払わねばなりませんでした。

このような一定の範囲に属する不特定の債務について保証する契約を「根保証契約」と言いますが、連帯保証人になった時点では、この先どのぐらいの債務が発生するか不明のため、引き受けるリスクは大変大きく、なってほしいと依頼しても断られるケースが少なくありませんでした。そのため、2020年の民法改正では、個人の根保証契約において極度額、つまり連帯保証人の債務の限度額を設定するよう明記されました。これによって、極度額が決められていない個人の根保証契約は無効になることとなりました。つまり改正前では全ての債務を負担しなくてはいけなかったのが、改正後は双方の話し合いで極度額を決めることが義務づけられたわけです。

また連帯保証人となった人は、借り主の家賃の支払状況などの情報提供を大家に対して求めることもできることになりました。これは極度額の設定が義務となったのと同様で、想定外に高額の債務を要求されることを避ける狙いがあります。このように2020年の民法改正は、連帯保証人の保護に重点が置かれています。安易に引き受けることがお勧めできないのは改正前と同じではありますが、やむを得ず引き受ける場合は、以上のことをしっかり把握しておきましょう。

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